第131話 暁月編・6

クロです。

サベネア島から帰ってきたので今回はクルル達と行動するターンだ。

第130話 暁月編・5
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難航する調査

クルルを筆頭にアルフィノ君、アリゼー、ヤ・シュトラ、グ・ラハとクロが向かったのはオールド・シャーレアンの西にあるヌーメノン大書院というでっかい図書館だ。

そこには地下に広がる巨大な書庫でグブラ幻想図書館より大きいのだとクルルは言う。そして一部の書庫は賢人位などを持つ特別な人しか閲覧できないらしい。

そのためにグ・ラハとヤ・シュトラが駆り出されたわけだ。

ふたり以外はまだ目を通していない一般書架をあたることになり、クロも大書院の中で本をあさる。

といっても目にしたのは「シャーレアンの成り立ち(幼年向け)」「旧街道を行く(植民地編)」「議会から見る都市の変遷」「天を学ぶ(入門編)」「汝、永遠の二十歳たれ」「知識の集積者たち」という本で。

なんというか、シャーレアンの在り方を知るためのチュートリアルみたいな感じ?だった。

本の中身を(もう一度)読みたい場合は、入って正面にいる魔法人形に話しかければ読める。

息抜きにはコーヒー

さて、借りた本を読めども読めども欲しい情報が出てこないまま煮詰まる面々。

アリゼーに息抜きにコーヒーに誘われたクロは港に面するラストスタンドという店に来ていた。

賢人パンに見るような「味より栄養!」という食事に異を唱えた学生が大学を中退してまで設立した店。

シャーレアンの食文化の「最後の砦」だと言う。

言うだけあって味が美味しいことは保証されているらしい、これは楽しみ。

来たついでに軽く情報収集しようと言い出したアリゼーだが、ルヴェユール家のお嬢さんは顔が知れている。

そして有名人の噂は広まるのが早いようで、「ルヴェユールの双子が勘当されたらしいぞ」という話を知る人も多く(そういえば税関でも言われてたな)、哲学者議会の顔みたいなフルシュノパパのご機嫌を損ねたくない人は関わりたくないようだ。

数人に話しかけ拒絶されたアリゼーは旧知のマスターに愚痴をこぼしていた。

そのマスターに顔が知られていないおまえさんが給仕して聞き込みして来いよ、とエプロンを渡される。

のんきなお茶会マダムや忙しい仕事で減った元気を美味しい食事でパワーチャージする豪快なお姉さんとかいたが、客のひとりから最近グリーナーの知り合いが忙しそうだ、という話を聞くことができた。

グリーナーとは世界中を飛び回りシャーレアンが所持していない本や生体サンプルなどを集めてくる人たちで、どんなに苦労しても目的のものを集めてくるから「落ち葉拾い(グリーナー)」と呼ばれているんだそうだ。

給仕し終えて戻るとアリゼーがコーヒーを買っておいてくれたので人気の少ない場所でコーヒーをいただく。

店だと人目にさらされるのがちょっと辛かったようだ。個人的なことだと思っていたのに他人の噂の的になっていたのが軽くショックだったアリゼーが珍しく元気なさそう。

腰を掛けていたのは水路脇だったのだが、目の前を複数の小舟が通過していくのを眺めていた。

扉が開き、小舟が吸い込まれていく。それにしても数が多いな?

するとラストスタンドの聞き込みの様子を聞いたアリゼーが何か気付いた様子。

「さっきの舟に乗っていたのも、多分グリーナーだわ。それも、ラヴィリンソスに搬入を行える議会公認のグリーナー」

えーと、ラヴィリンソスって何だ?

ラヴィリンソスへ

コーヒーカップをラストスタンドに返しに行ったアリゼー。

先に皆の元に戻ったクロはグ・ラハに「なんかコーヒーのいい香りがする」と言われる。

美味かった(らしい)ぞ。

アリゼーも戻ってきてラヴィリンソスの調査を提案する。

図書館の調べ物は進んでいなかったので残りの調査をグ・ラハが受け持ち、他のメンバーでラヴィリンソスへ行くことになった。

で、ラヴィリンソスって何?

地下に降りるとそこは

哲学者広場の建物から階段を下り、昇降機でさらに降りるとそこには空があった。

え?ここって地下じゃないのか?なんで空が?

説明してくれたクルルによると、ラヴィリンソスはオールド・シャーレアンの地下に広がる巨大空間。人口太陽があり、風も水も人の力で作り出されている。

そしてヤ・シュトラの捕捉によると、元々は大昔の溶岩だまりだったものを400年ほど前に見つけて資料や生体サンプルの保管場所として改築してきた。深部は今なお拡張されている。

一見すると馬鹿げた規模の保管庫なのだが、いろいろな動植物の生体サンプルの保管のために必要なのだそうだ。

保管というよりモンスター野放しにしているようにしか見えないんだけど。

職員は襲われなかったりするのか?

グリーナーの手伝い

クルルはなんだか降りた時に目まいがしていたようだが気圧差もあるんだろうか?

とにかく情報に飢えているクロ達は片っ端からその辺にいる人に声をかけてみた。

と言ってもほとんどが持ち込んだ荷物を抱えるグリーナーのようだ。

そんなグリーナーのひとりが持ち込んだ動物が逃げてしまい困っていたので手伝うことにした。

変わり者扱いされたような気もするが、お使いは冒険者の基本なんだ気にするな。

「ありがとな」と礼を言い忙しく去って行ったグリーナー。

クロ達もアルフィノ君の案内で少し奥のアルケイオン保管院に向かう。

ちなみにラヴィリンソスはすり鉢型の形状をしていて今いるのは一番外側のアウターサーキットと呼ばれる場所だ。

アルケイオン保管院には昇降機があり、ひとつ内側のミディアルサーキットまで行けるらしい。

ここでも荷物の手続きをするグリーナー達が集まっていた。

さて、昇降機に向かうも現在見学者など一般の使用を許可していないと言われてしまうクロ達。

困ったな。見学に来た学生も急に使えないって言われて困ってたよ。

とりあえずその辺をうろついてみるとさっきのグリーナーに出会う。

なんか行きがけに鳥を一羽捕まえてきてくれって言われたらしい。

吹き矢で寝かせる手伝いをするクロ。

「へぇ~、うまいもんだな」と言われる。

冒険者たるもの吹き矢のひとつも扱えなくては!(あちこちでやらされるんだなこれが)

そこへヤ・シュトラ達が合流した。

エレンヴィルと名乗ったグリーナーはアルケイオン保管院から昇降機で下に向かい依頼主に報告に行くと言う。

それに同行させてもらえないかとヤ・シュトラが聞くが、荷物は先に送るし報告に向かうだけなのに「荷物持ち」とは紹介できないだろうと断られる。

「ごもっともね、忘れてちょうだい」と言うヤ・シュトラ。

だがエレンヴィルはミディアルサーキットに降りたいクロ達に足腰と腕に自信があるならいけないこともないと道を教えてくれた。

クルルも知らなかった通路の情報に歓喜している。

ミディアルサーキットへ

教えてもらった道はラヴィリンソスの拡張と同時に鉱物資源を得るために作られた第三十三期拡張坑道で、ここにはキノコがいる。

食用キノコが生えているわけではない。

脚が生えている動き回るほうのキノコがいる。

もちろん襲ってくる。

そこを抜けてミディアルサーキットに着いた一行はメリオール実験農場という場所に行く。

そこでも職員がせっせと荷運びをしていた。

農場で話を聞いたり近場を散策していると光る花を見つけたクロ。

眺めていると荷物を運んできた植物学者に声をかけられる。

「人の心を映す花」と呼ばれるその花は周囲の人の気分によって色を変えるのだと言う。

その原理はわかっていない。

長寿な花だが繁殖力が低く外ではめったに見られず、分布図を作ろうにも目撃情報が足りず、類似した植物もないから原産地も不明なのだとか。

かろうじてこの花を知る人もそれぞれに名前や伝承を与えているので正しい名前があるのかすらわからない。

なんとも不思議な花のことを教えてくれた植物学者は荷運びに戻って行った。

 

 

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