第141話 暁月編・15

クロです。

ガレアン人との間にある溝を実感する事件がおきた。

第140話 暁月編・14
クロです。 イルサバード派遣団が出発した。 寒冷地仕様の服をタタルが用意してくれたおかげで何とか凍えずに進行することが出来ている。 ガレマルド入り 遠くに見えるのは帝都に現れた巨大な塔か。 撃ち落されるのを回避するため雪原の手前から徒歩で進...

姉妹捜索

別荘から姿を消したリキニアとまだ見ぬその妹。

辺りは雪原、モンスターも徘徊するこの地で薄着の女性たち(ひとりは病人)がそう長く生きていられるとは思えない。

だから急ぐ。

急いで痕跡をさがして後を追い、ふたりを保護しなければ。

だが、間に合わなかった。

やっと見つけた姉妹は獣に襲われ、大量の出血が原因で冷たく横たわっていた。

傍には鉱石ラジオが落ちている。

ただそれだけを持ってふたりは氷原を走った。

凍った湖のはずれまで、ただひたすらにふたりは逃げてきたのだ。

獣に襲われる覚悟でクロ達から。

アルフィノ君がふたりを弔うために別荘まで運びたいと言う。

「わたしたちが弔ってもいいの?」とアリゼーが問う。

「わからない・・・けど、ここは風が冷たすぎるよ」

姉妹を埋葬しながらただただ悲しい。

信じてもらえなかったこと、助けられなかったこと、民族間の溝。

冷たい雪と風がさらに身体と心を冷やしていく気がした。

報告会

別荘からキャンプ・ブロークングラスに戻ったクロ達はルキアたちと現状の報告をしあった。

サンクレッド達はまだ偵察中らしく戻ってきていない。

まずはアルフィノ君から今回のことを踏まえたうえで保護する際はガレアン人が出向き細心の注意を払うことをお願いする。

マキシマからはテンパード化の治療を受けていた民衆派から話が聞けたという報告が。

それにより帝国で起きた事件がだんだんわかってきたとヤ・シュトラが続ける。

事件の流れ

事の発端はヴァリス帝の暗殺だ。犯人はゼノスだが表向きはガイウスが指名手配されている。

ガイウスと言えばイルサバード派遣団の出発前にアラミゴまで見送りに来てくれた。

自分が出向けば逆賊だと罵る人の思いを逆なでし、逆に未だ軍団長として希望を見る人たちには復権の夢を見せてしまい派遣団の活動を邪魔してしまうだろう、と祖国救済に駆けつけたい思いを押し殺しクロに託してくれた。

まぁそこは置いておく。

ここが割と肝心で、暗殺直後に第III軍団を率いるネルウァが次期皇帝に立候補した。

ネルウァってのはヴァリス帝のいとこにあたる。

タイミングが良すぎることでヴァリス帝の率いていた第I軍団がネルウァによるクーデターだと判断して対立、火種がくすぶり始める。

その後どちらにもアサヒに化けたファダニエルによるブルトゥス家(アサヒの実家)からの資金投入があり、一気に決着を付けようとした両軍が激突し帝都市街戦が勃発。

直後大きな地震のような衝撃を感じ多くがテンパード化。そこからの記憶は曖昧ということだ。

鉱石ラジオ

ただ、その時ラジオから流れるヴァリス帝の声を聞いたとの証言も出てきたようだ。

あのでっかい塔はバブイルの塔と呼ばれているのか。

なんだかバベルの塔みたいだな、もじりか?

話を聞いていた双子が反応する。

うん、ラジオからヴァリス帝の声って別荘でも聞いた。覚えてる。

ででん、鉱石ラジオ~!(ドラ〇もんの秘密道具のノリで)

丁度リキニアの持っていた現物を借りてきていたので皆に見てもらおう。

それを見たア・ルン・センナが配られた護魂の霊鱗と似たエーテルを感じると言う。

彼はグリダニアのカ・ヌエ・センナ様の弟で、エーテルの流れを見て感じることに長けた角尊のひとりだ。

そして同じものを感じた我らが魔女様(ヤ・シュトラ)が仮説を立てる。

『地震のような衝撃』がバブイルの塔からのエーテル放射で、それを遮断するラジオの近くにいた人だけが助かったのではないかと。

リキニアは理由はわかなくとも何か感じて逃走の際にラジオを持ち出したのだろうか。

それにしてもいないはずのヴァリス帝の声が流れる意図は何なんだ、という謎は残るんだよなぁ。

 

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